今後の保育業界で「生き残っていける」保育士像

2021/09/29

託児から幼保へ。時代とともに変動してきた保育と同時に、保育士のあり方も変化してきました。 待機児童問題・ライフワークバランスが叫ばれる現代社会の中で、「子育て世代の救世主」として保育士の重要性が再認知されてきています。 今後最前線で活躍できる保育士とはどういった素養が必要となるのでしょうか?

「保護者支援」保護者との身近な関係を築くこと

核家族の増加・地域交流などが減少し、子育てに関して「誰に相談したらいいのかが分からない。」と、一人で悩み育児不安にかられている保護者に対しての支援が今後さらに続く事でしょう。

子育てにイライラして虐待という最悪な事態をも年々増えています(H20:42,664件→H28:103,260件)。

あってはならない出来事です。
したくてやっている保護者はどこにもいません。誰かが寄り添う事で防げることもたくさんあります。

そこで今後、保護者との距離をより近くコミュニケーションを上手くとる事が鍵になってくるでしょう。
こどもの普段の様子を話す事はもちろん、保護者を〇〇ちゃんのお母さんという認識ではなく、一個人として話す事が大切です。

日々子育ての中で、自分という一人の存在は自分のことをきちんと見てくれていると感じられるので、こどもの成長を育み、喜び合える「子育てのパートナー」としてより身近な存在に感じてくれることでしょう。

視野を広げ多様な保育に合わせた働き方

子育てしながら働く方が増えてきている現在。保育施設の開園時間は7:00~19:00という施設はまだ多いことでしょう。

ですが、仕事の職種は様々で夜勤や日・祝出勤など保護者の働きに対応できていないところが現状です。世間のニーズに合わせ保育も多様化されており、保育士はそのニーズに応えないといけないのです。

認可保育園で実施・検討されている保育:夜間保育、休日保育、一時保育、病児・病後児保育 など

その他の利用施設として、24時間保育室、託児所など無認可の保育施設があります。

もちろん保育士資格を保持している保育士が保育をしなくてはなりません。
保育の多様化に合わせて、保育士も働き方の視野を広げていくことが必要とされています。

働く姿勢・研修での知識向上

働く保護者が増え子どもと過ごす時間が少なくなり、情緒が不安定な子どもが増えてきました。またテレビやゲームの影響で考える力が不足したり自分の世界に入ってしまう子どももいます。

その影響は小学校に入学した時に大きく出ます。保育施設を卒園し小学校に上がった時、幼稚園・保育園の子どもがみんな一緒の学びが出来ている事とされるようになりました。

保育施設では「健康、人間関係、環境、言葉、表現」の5領域の教育内容で、乳児に大切な関わり、幼児教育に効果的な学びなど、子ども達の毎日の活動・生活を通して育みながら、常に新しい事を学んでいくことが大切です。

また、専門職である保育士にとって毎日が学び。研修・外部研修で学んだ事を園で共用していくことで更に保育が深まっていきます。自分自身に身につけた技能は自信にもつながり、評価され、人材交流の活性化にもつながります。

子育て家庭を取り巻く環境も変化する中、研修で学んだ事を保育に取り入れると共に、自身が楽しんで行う保育をみつけ子ども達と笑顔で過ごしたいですね。

質の高い保育士って?保育で求められるもの

「質の高い保育士」と、良く耳にしますが、いったい何をもって質が高いと言われているのでしょうか。

子どもと関わる事が上手な人?研修を受ている人?それとも乳児・幼児なんでもこなせる人?以前は、保育園の先生と聞くと、子ども達と楽しく歌を歌ったり、一緒に外遊びをしたり…と、いつも楽しく笑顔のイメージ!ですが、近年そのイメージも無くなりつつあるのが現状です。

その背景には高学歴の親が増えてきている事・幼稚園と保育園出身では小学校に上がった時の落ち着きの差など、子どもに影響する事があげられます。働いている間になんでも学ばしてくれたり、習い事もさせてくれる保育園。そういった親の要望に応える園もウリとして増えてきています。

ですが保育に正解はなく各園の理念・やり方に沿う事、その園にとっていかに活躍できるかが保育士として求めらるスキルではないでしょうか。
それが子ども保護者・保育園にとっても一番大切なことですね。

近年流行の多様な保育の一例

複合的な要因が絡む保育を取り巻く現状

待機児童解消や保育士不足を補う為、政府でも保育士確保の制作を打ち出していますが、「数としての保育士拡充」を主とする、一時的で即効性を求めた対策が中心です。「質の高い保育士育成」「保育士の処遇改善」は後回しにされているのが現状です。

しかし近年、保護者をはじめとする働く子育て世代から「子育てと仕事の両立ができない、 日本の保育の在り方」事態を疑問視する声も高まっています。
政府はこれら保育環境の改革を、重要な問題と位置づけ、抜本的な改革に向けて動きだしています。

そのことから保育士は今後、「多様化する社会により、保育において今よりも高い専門性と知識・技術が求められるようになるが、それに見合った処遇改善、地位向上が行われ、 長く働き続けられる魅力的な環境づくりへの対応が行われていく」未来へと変わって行きそうです

保育の多様性

最近の保育はニーズに合せ様々な広がりを見せています。

保育園での保育も画一的なものではなく、 体力作りに重点を置いている・幼稚園と同等の教育的要素を取り入れている等、園の独自性が垣間見えます。

待機児童対策のための乳児の小規模保育に加え、 大規模園では幼保一元化の名のもと保育園・幼稚園の、認定こども園への移行が始まっていますし、保育士以外にも保育ママやベビーシッター、チャイルドマインダーなど、 保育園よりもっと小規模で家庭的な保育サービスも盛んになってきました。

それだけ多くの多様性が必要となって来ている保育業界。これからも一つ一つの家庭に合せて、さらなる需要が拡大されていくことでしょう。それだけにその多様な保育に対応できるオールマイティな保育士は、どんどん活躍できる場が広がってくると思います。

障がい児保育の有り方

近年障がい児保育への理解が深まり、保育園でも障がい児と健常児が共に過ごせる環境整備が進んでいます。
行政が「障がい児枠」という規定を設けている保育園も一般的になってきています。

障がい児や療育に対する理解が広まる一方、 保育の現場では障がい児保育へのむずかしさが取りざたされています。

受け入れを行なっている保育園では、保育士の加配を行ない、 フォロー体制を整えていますが、現場レベルでは保育の余裕がなくまだまだ対応が追いつかないと言う事態もあるようです。

また健常児として入所してきた子どもであっても、後の保育園生活で発達障害などが疑われるケースもあります。

その際、保護者への伝え方や今後の対応も、保育士にとって難しい課題となっています。障がい児保育においては、 今後さらに医療・福祉との連携が必要となってくるでしょう。その時に子どもたちに最適な援助や支援ができる保育士は、今後さらに必要性が高まってくることでしょう。



今後の保育士に求められる事は「保育士としての応用力」になるかと思います。
その昔、女性の社会進出の為の託児施設として機能していた「保育園」ではなく、子育て家庭への支援や幼児期の発達・教育において重要な役割を持つ存在として姿を変えて来た「保育園」。 その流れを見ると、今後の保育士の地位向上・重要性の認知は必ず大きなものとなってくるでしょう。「デキる保育士」として生涯一線で活躍し続けるためにも、 いち早く社会情勢をキャッチし、時代の保育ニーズに対応できるよう保育のプロとして成長し続けたいものですね!

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