女性労働者|育児休業の取得率と保育問題

男女平等がうたわれ、1991年には性別に関係なく育児休業の取得が可能となった「育児休業に関する法律」が成立しました。しかし、保育業界に限らず実際に育児休業を取得しているのは母親である女性が大半を占めています。更には労働者の権利であるはずの育児休業を取得しないという選択をする女性が増えてきているという実態もあります。女性労働者の育児休業取得率の推移から、保育制度の問題点と今後求められる働く女性への支援について見ていきましょう。

育児休業法とは?

1991年に成立された「育児休業に関する法律」では、全ての職種の男女が子どもが満1歳になる前日まで休業でき、満1歳の時点で保育所に入所できないなどの理由で職務に復帰ができない場合には、期間を延長して1歳半までの取得が認められています。

2017年10月1日からは、同じく保育所に入所できないなどの理由がある場合には、1歳半までの期間を更に延長して最大2歳までの期間育児休業取得が認められることとなりました。

しかし、この法律は働く全ての職種、且つ男女への制度ではありますが、休業期間を取得しているのは「母親である女性のみ」という場合が圧倒的に多く、育児休業を取得する男性は少ないことが現実です。

気になる休業期間中の給与についてですが、育児休業中の給与支払いに関する規定は無く、給与の支払いはない場合が多いですが、給与が支払われない、もしくは減額される場合には、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

育児休業給付金の支給額は2014年の雇用保険改正により、育児休業開始時から180日間は賃金の67%、それ以降は最大2年まで賃金の50%です。

育児休業を取得できる期間が延びてきていることからも、保育所に入所できずに仕事に復帰ができない労働者が増えていることが見えてきますね。

育児休業取得率が減っている!?働く女性の不安が見えてくる

保育所不足などにより保育所に入所できないケースが増える中で、2017年には最大2年間の育休延長が可能となりましたが、その背景には育児休業を取得する女性の減少があります。

女性労働者の育児休業取得率の推移

このグラフからも分かるように、2015年度に育児休業を取得した女性は、正規労働者で前年度より5.1%下がり、有期契約労働者は2.1%減少しています。

その理由の1つが保育所問題。子育てをしながら仕事をするためには、子どもが保育所に入所できることが、最大の条件となります。

昔は、祖父母と同居し父母以外の大人が子どもを見てくれる状況も多くありましたが、核家族化が進んでいることや、祖父母も現役で働きているという家庭が増えたことで、父母以外の大人の手を借りて子育てをすることは難しい状態です。
そのため、母親が仕事に復帰するとなると保育所への入所が必須条件なのです。

また第2子出産後には、育休取得期間によっては第1子が保育所を退園せざるを得ない状況に陥る可能性もあり、第2子以降では育休を取得せずに復帰する、もしくは退職するという場合もあります。

保育所に無事入所できたとしても、働く女性の悩みは尽きません。例えば勤務時間。仕事が終わるとすぐさま保育所に子どもを迎えに行き、家事育児をこなさなければならない中では、出産前と同じ勤務時間で働くことはかなりの負担となるのです。

そのような事態を想定した時に、育休を取得せずに退職という選択肢を選ぶ女性も少なくないと推測されます。

女性が働きながら安心して子育てができる環境を整えるためには

女性が働きながら安心して子育てができる環境を整えるためには

男女平等の時代と言われていても、やはり子育ては女性が中心になって行うことが多くなります。授乳の面などを考慮しても、それはある程度やむを得ないことなのかもしれません。

ただ、女性が仕事と子育てを両立するために周囲ができることがないわけではありません。まずは保育所問題。子育て中は仕事からは離れて育児に専念したいと自分で選択するのならば良いですが、保育所に入れないから、やむを得ず仕事は諦めて子育てに専念するという女性がいること見過ごせません。

仕事に復帰しようと考えた時には、いつでも保育所を利用できる制度を整えることで、まずは保育所入所への不安をなくすことが求められます。

そして、勤務時間などの職場環境の問題。子育て中の女性が時短勤務をするケースは増えていますが、これは女性だけではなく男性にとっても大切な制度です。

女性が時短勤務をすることによって、子どもを早く迎えに行って通常勤務よりは触れ合う時間を多く持つことができるようになります。
ただ、帰宅後に1人で家事、育児をこなす大変さは変わりません。そんな時に、男性も早く帰宅して育児と家事が一緒にできれば、女性の負担はかなり減ります。

女性が通常の勤務時間で働き、男性が時短勤務をする曜日を作るなど、夫婦で一緒に子育てができる体制を、法律だけではなく企業側が率先して整えることが必要なのではないでしょうか?

施設により休暇制度が充実している保育園も増えてきています。保育園求人を探す際に見比べるポイントとして休暇制度もチェックするのもいいかもしれません。

育児休業の取得率から見えてくる、働く女性の不安や悩み。その1つひとつを解決するための環境を、国を挙げて整えることが子育て中の女性が安心して働くための第一歩です。保育所の充実、そして職場環境の整備が進められ、誰でも安心して育児休業を取得できるようになることを願いましょう。