神奈川県の保育園の特徴

2018年度の厚生労働省の調べによると、神奈川県の県庁所在地である横浜市は、前年度と比べた保育園の利用児童増加数が全国1位という結果になりました。それだけ、多くの保育園が新設されているということですね。
2018年の時点での保育施設数は2,183園であり、その約半分である1,000園が横浜市に集中しているという特徴もあります。待機児童は864名。その内、横浜市や川崎市などの政令指定都市、中核市を除いた地域の待機児童は663名です。この結果から、都市部の保育園の整備は年々進められていますが、それ以外の地域の整備が今後の課題であることが見えてきます。

【参考】厚生労働省　「保育所等関連状況取りまとめ」
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000350592.pdf#search='%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81+%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD+%E4%BF%9D%E8%82%B2%E5%9C%92%E6%95%B0'

横浜保育室とは？

横浜保育室とは、横浜市が独自に定めた基準を満たす認可外保育園です。

• 市内在住の0歳から3歳未満の子どもを対象としている
• 3歳未満の子ども4人につき保育士1人
• 施設内調理の給食
• 保育料は58,100円が上限

その他にも横浜市が定めた基準があり、それを満たすことで補助を受けることができます。認可基準は満たしていないけれど、横浜市の基準を満たしている保育施設においては、補助を受けることで安定した経営が可能です。

【参考】横浜市「横浜保育室のご案内」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/hoiku-yoji/shisetsu/hoikuseido/yokohamahoikushitsu.html

横浜市のお隣の市である川崎市でも、川崎市独自の基準を満たした認可外保育園を「川崎認定保育園」として認定しています。対象児童は0歳から6歳までの未就学児、給食の提供は必須ではないなど、横浜市の基準とは異なりますので、注意が必要です。

【参考】川崎市　「川崎認定保育園」
http://www.city.kawasaki.jp/450/page/0000047262.html

神奈川県で働く保育士の給与事情

2017年の賃金構造基本統計調査によると、神奈川県で働く保育士の平均月給は24万3,900円、平均賞与は65万8,800円でした。年収にすると358万5,600円になります。実際に求人情報を見てみると、初任給が18万から20万円ほどの園が多く、キャリアによっては29万円以上という好待遇の求人もありました。

【参考】平成29年賃金構造基本統計調査
「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001098975&tclass2=000001098977&tclass3=000001098986

神奈川県の保育士求人状況は？

2018年の厚生労働省の調べによると、神奈川県の有効求人倍率は3.57倍。保育士を募集している3園のうち1園しか、保育士を雇えないということを表しています。全国の有効求人倍率が3.20倍であることを考えると、そこまで高い倍率であるとは言えません。しかし、政令指定都市である横浜市の保育施設の数は1,005園、川崎市は420園であることに対して、政令指定都市・中核市以外の神奈川県内の保育施設の数は573園であることから、保育士の求人が多い地域と少ない地域の差が大きいという特徴も。実際に求人情報を見ていると、横浜市や川崎市の求人が多く見つかります。

【参考】厚生労働省　「保育士確保集中取り組みキャンペーン概要」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/hoiku/jinzaikakuho_torikumi.files/kakuho.pdf#search='%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD+%E4%BF%9D%E8%82%B2%E5%A3%AB+%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%80%8D%E7%8E%87'

神奈川県の保育士確保の取り組み

有効求人倍率が3倍を超えている神奈川県。保育士確保のために、県や市町村では様々な取り組みがされています。

保育士を目指す人への支援としては、「保育士就学資金貸付事業」。保育士養成校に通う人に2年間、月額5万円または3万円の学費を貸してくれます。新卒で就職する人には、最後の貸付時に20万円の就職準備金を貸与してくれるという制度も。神奈川県内の保育施設に5年間勤務することで返済が免除されます。

潜在保育士への支援としては、1年以上のブランクがある保育士が神奈川県内の保育施設に就職する際に、保育士就職準備金として20万円の貸与が可能です。こちらは県内の保育施設に2年間勤務することで、返済が免除されます。

子育て中の保育士への支援としては、相模原市や横須賀市などの対象となる市町村の保育施設を利用し、自身も市町村内の保育施設に勤務する人に対する、保育料の一部貸与制度があります。27,000円を上限として、保育料の半額を借りられるこちらの制度。対象となる市町村では、保育士が優先的に保育施設を利用することもできます。こちらも2年以上の勤務で返済免除となりますので、子育て中の保育士にとっては嬉しい制度ですね。

【参考】神奈川県　保育士修学資金貸付等事業について
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f520048/

他にも横浜市独自の制度として、保育士宿舎借り上げ支援事業など、保育士確保のための制度充実が進められています。

神奈川県で転職先を探すときのポイント

保育士確保のための制度内容は、市町村によって異なる部分も多くあります。自分がどんな条件に当てはまるのかということを考えて地域を選ぶと、より充実した制度の利用が可能となるでしょう。また、神奈川県は、一時期は待機児童が4000人を超える地域でした。しかし、保育士確保のための取り組みや指定都市独自の基準を満たす保育施設の設立などから、現在は東京や埼玉、千葉などの近隣の県と比べると待機児童が少ない県となっています。指定都市独自の基準は国の認可基準とは異なりますので、自分がどんな形態の施設で働きたいのかということを考慮して選ぶことも大切です。