事業所内保育と企業主導型保育~保育士が転職を考えたときに知っておきたい違い

2019/08/27 Work レポート
企業が働く従業員のために設立する保育施設には、大きく分けて2種類あります。事業所内保育施設と企業内保育施設です。なぜ、同じように従業員が利用する施設なのに、2つの種類があるのでしょうか?その理由は、制度の違いにあります。この制度の違いは、働く保育士にとっても無関係ではありません。保育士が転職を考えたときに知っておきたい、事業所内保育と企業主導型保育の違いについて見ていきましょう。

事業所内保育とは

事業所内保育とは、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」によって定められた「事業所内保育事業」において、認可対象施設となった保育施設です。

企業が働く従業員のために設置する保育施設を運営するにあたって、国の基準を満たすことで、各市町村から認可を受けることができます。

利用できる園児は、0,1,2歳児。園児定員に決まりはありません。認可基準としては、定員19名以下の施設は小規模保育事業の基準を、20名以上の施設は認可保育園の基準が適応されます。

従来までの事業所内保育園との大きな違いは、利用する家庭です。基本的に2015年の制度施行以前に運営されていた事業所内保育園は、従業員の子どものみが利用していました。

しかし、制度の施行によって認可を受けるためには、園児定員のうち概ね2,3割を地域の保育を必要とする家庭に開放する「地域枠」を作ることが義務化されたのです。

そのため働く保育士は、従業員の子どもに加えて、地域枠を利用している子どもの保育にもあたることとなります。

企業主導型保育とは

企業主導型

企業主導型保育とは、企業向けの助成制度として、内閣府が2016年に開始した「企業主導型保育事業」によって誕生した保育施設です。

事業所内保育との大きな違いは、認可外保育施設であるということ。事業所内保育は認可基準を満たすことで認可を受けた施設ですが、企業主導型保育施設は認可外保育施設として、助成金を支給された施設です。

そのため、週に2日や短時間の出勤の従業員も、利用できます。

認可外保育施設とは言っても助成の対象となりますので、一般の認可外保育施設とは違った満たすべき基準があります。

保育従事者の人数は、認可保育園の基準に1人を加えた人数。その半数が保育士資格を持っている必要があります。利用できる子どもの年齢は、0歳児から5歳児。園児定員の定めはありません。

事業所内保育には地域枠の設置義務がありますが、企業主導型保育にはありません。ただ、任意で園児定員の半数以下を地域枠とすることが可能です。

企業主導型保育の大きな特徴は、設置者にあります。1つの企業が設置した施設でなくても良いのです。設置方法には4つの種類があります。A,Bの2つの会社と、保育事業者C社があると仮定して、見ていきましょう。

  • 単独設置、単独利用

A社が設置し、A社の従業員が利用する。

  • 単独設置、共同利用

A社が設置し、B社と利用契約を締結。A社とB社の従業員が利用する。

  • 共同設置、共同利用

A社とB社が共同で設置し、A社とB社の従業員が利用する。

  • 保育事業者設置

保育事業者であるC社が設置し、C社がA社、B社と利用契約を締結。A社、B社、C社の従業員が利用する。

全ての設置方法において、地域枠の設定が可能です。

企業の特徴や方針によって設置や利用方法が選べるので、多くの企業で取り入れやすいというメリットがあります。

事業所内保育と企業主導型保育、どちらの方が働きやすい?

どっち

保育士が転職先候補に考えた時、気になるのが事業所内保育と企業主導型保育のどちらが働きやすいのかということではないでしょうか?

利用する家庭の違いはありますが、基本的には事業所内保育と企業主導型保育の仕事内容に大きな違いはありません。

しかし、保育士の設置基準には違いがあります。保育士人数は、仕事量にも大きく関係しますので、注意してみていきたいところですね。

事業所内保育では、園児定員19名以下の施設においては、認可保育園の基準に加えて1人の職員。

そのうち半数以上が保育士資格を保有している必要があります。20名以上の施設では、認可保育園の保育士設置基準と同等です。

一方、企業主導型保育では、園児定員に関係なく認可保育園の基準に1人加えた人数とされています。園児定員20名以上の施設においては、企業主導型保育の方が職員が豊富で余裕を持って働けるということですね。

しかし、企業主導型保育では、職員の半数が保育士であること比べて、園児定員20名以上の事業所内保育では全員が保育士資格保有者です。

資格保有者以外の職員は研修を受講していますが、やはり資格保有者の方が責任のある仕事を任されることも。人数面では恵まれていても、任される仕事が多くなる可能性もあります。

働きやすさを重視して転職を考えたときには、保育士資格を持っている人の人数を確認しておくと良いでしょう。

保育士の転職先の1つである、事業所内保育施設と企業主導型保育施設。企業が従業員のために設置するという特徴に加えて、2つの施設には制度によるさまざまな違いがあります。転職を考えたときには、違いも把握した上で選ぶと良いでしょう。特に保育士人数は働く上で大きな基準となりますので、資格保有者の人数も確認してくださいね。後悔しない転職のために、役立てていただけると幸いです。