保護者支援~保護者への伝え方・言葉掛けの方法~

保育園にはたくさんの子どもがいます。そしてその子どもの数だけ保護者がいます。保育園を初めて利用する中で不安を抱いている保護者もいますし、初めての子育てへの悩みを抱えている保護者もいます。どの様に伝えれば、保護者が子どもの姿を前向きにとらえることができるのか、そして保護者が悩んでいる様子が見られた時におすすめの言葉掛けの方法をご紹介します。

子どもの気になる姿を伝える時には、保育園での対応方法も伝える

保護者の話を聞き、時にはアドバイスをしながら一緒に子どもの成長を見守ることも保育士の大事な役割です。

また保育士の仕事として、子どもの様子や成長面で気になることを保護者に伝えなければならない場面もあります。伝え方によっては、保育士への不信感に繋がったり子育てへの自信をなくしてしまうことも…。

落ち着つきがない・噛みつき など

保育中に落ち着かない様子が見られる、他の子どもに手を出したり噛みつくことが多い、食事中に立ち歩いてしまうなど、子どもの気になる様子を伝える時には、気になる部分だけではなく保育園での対応方法も伝えましょう。

例えば、他の子どもに噛みついてしまう子どもの場合には、「まだ、言葉で気持ちを伝えられずに噛みついてしまう姿がありますが、落ち着いてから話をするとお友達に謝り、その後は言葉や仕草で伝えようとする姿が見られました」と噛みついた時に保育士がどの様に対応したのか、その結果子どもがどの様な姿を見せたのかということも合わせて伝えます。

発達に関係することも

また、噛みつきや落ち着かない様子は発達の中で見られる行動であるということも伝えると良いでしょう。自宅での躾のせいにしたり、子どもの行動で困っているという言い方は控えましょう。

会話の中で、「自宅でも親に噛みつくことがある」「食事中に立ち歩くことが多い」など保育園と同じような姿についての話があった時には、対応方法について一緒に考えていきましょう。保育園でこの様に対応したら改善されたという具体的な方法があったら伝えてあげて下さいね。そして、1週間程経ってから「最近どうですか?」と自宅での様子を尋ねてみて下さい。保育士が子どもと自分のことを気にしてくれているという安心感は、保護者の信頼感に繋がりますよ。

保護者の小さなサインを見逃さない

子どもが1人ひとり違う様に、保護者にも様々なタイプの人がいます。育児の悩みや子どもの様子について気になることを、すぐに保育士に相談できる人もいますし、自分の中で溜めてしまって相談ができない人もいるのです。

SOSを発せない保護者

あまり相談してこないからと言って、悩みがないわけではありません。中には、保育士に相談をしたいけれど言い出せないという人も…。そんな保護者の気持ちを汲み取るには、登降園時の様子や連絡帳の記載に気を配ってみましょう。

連絡帳に「昨日は眠るのが遅くなってしまいました」と記載があれば、寝かしつけで悩んでいるのかもしれません。登降園時に口数が少なかったら育児に疲れているのかもしれません。

そんな時には、「昨日はすぐに眠れましたか?」「お母さん、体調は大丈夫ですか?」と子どもの様子や保護者を気遣う言葉を掛けてあげてください。保育士が気にしてくれていると感じることで、「実は寝かしつけが上手くいかなくて…」「最近、子育てに余裕がなくて…」など悩みを打ち明けてくれる場合もあるからです。

自分からSOSを発せない保護者にこそ保育士側から、気付いて声を掛けてあげる必要があります。ただ、あまりにもしつこく聞いてしまうと逆効果ですので、「大丈夫です」という返答があったときには、それ以上聞かない方が良いでしょう。

まずは保護者の話をじっくりと聞く

育児相談を受けた時には、まずは保護者の話を最後までじっくりと聞きましょう。途中でアドバイスをしたくなる時もありますが、ぐっと我慢です。中には保育士に話したことですっきりとして、笑顔で帰って行く保護者もいます。

アドバイスを求められた時には、保護者にとって不可能な提案は控る

例えば、仕事で帰りが遅く子どもと触れ合う時間が少ないと悩んでいる保護者に「もう少し早く帰って来てあげられませんか?」と言うのは禁句です。

「短い時間でも思い切り触れ合ってあげることで、しっかりとお子さんにも愛情は伝わりますよ。」とその保護者が実行できる範囲内でのアドバイスをしてあげることで、前向きに子育てに向かうことができます。

保護者が笑顔で過ごしていることは子どもにとっても良い影響となります。保育士に話すことで子育てに自信が持てるような声掛けを心掛けたいですね。

降園時になかなか帰らない保護者への対応
保護者対応は、時には子どもとの関わりよりも難しいものです。特に保育士になりたての頃には、自分よりも大分年上の保護者と関わることが多く、自分の経験のなさを引け目に感じてしまう事も…。しかし、どんなに若くてもプロの保育士です。アドバイスを求められた時には、保護者の気持ちを考えながら保育士として学んできたことを伝えてあげてください。保護者との信頼関係を築くことで子どもとの信頼関係も深まっていきますよ。